v.o.c - column vol.8

v.o.c (Vapor On Curry)不定期コラム「長野ぶらぶら節」第八回



 曽我井環(そがいたまき)さん


いま僕は訳あって節約モードなのですが、まあまあ退屈せず、日々が安上がりに過ぎていきます。例えばラジオを聴いていて、何気にあなどれないネタを耳が掴むことがあったり、図書館を利用して読書をしたり、はまると気が済むまで芋づる式に貪れます。

その図書館に僕が行くとき、いつも居るその人の存在感たるや。

一応説明しておきますと僕は現在失業中の身で、行こうと思えば図書館にいつでも行くことが出来、失業した当初は気が向いたときに図書館に行っていたのですが、その人は僕がまったくランダムに図書館に行ってもいつもそこに居ました。世代も雰囲気も何か僕に似ているその人のことを、僕は仮に曽我井環さんと名付けることにしましょう。

仕事が無いことになんとなく負い目を感じている僕は、まず図書館に行く曜日を金曜日又は土日祝日の内のどれかと決めることにしました。週に休みが二日ある設定です。また、図書館に長居はしません。借りたい本を検索してから棚をチェックして借りるか、即目的の本棚に直行、ときにはリクエストを用紙に記入して申し込み、そしてサッと帰り忙しい自分を演出。帰り際に周囲を見回すと曽我井環さんが本を読んでいます。今日は居ないのかと思うと駐車場に居る。

ある平日の午前中、メンズデーだったので映画館に行きました。映画が終わるとちょうど昼飯時、昼食を終えたサラリーマンがちらほらと目に付くアーケードを歩いていると、その中に曽我井環さん。黒地に水玉のワンピースを着た老女の姿です。

多くの人々が外に繰り出す週末、ふと部屋に気配を感じる。「一人も良いと思いますけどね、だって一見楽しそうな家族連れやカップル、本当はこいつとは一緒に居たくないなって思ってる人、絶対居るでしょう。」と曽我井さん。「さすが曽我井さん、確かにそういうこともあり得ますね。」と僕。気が付くと曽我井さんは消えているのでした。




飛び出すな坊やの女の子ver.を発見





























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